10. 「小テスト」の利用

10.9. 記述問題で正答が入力されているのに誤答扱いされる

「記述問題」(Short answer)は、学生が入力した短い文字列が、用意した正答とマッチするかにより自動採点する問題タイプです。

正答の候補(解答パターン)は複数用意することができ、先頭から順に調べて最初にマッチした解答パターンに設定された点数を得ます。また、それぞれの解答パターンは、ワイルドカード「*」を含めることができ、ワイルドカードは0文字以上の任意の文字列とマッチします。ワイルドカード以外の文字列は完全に一致する必要があります。

参考:

正答が誤答扱いされるケース

採点にあたり、見た目は完全にあるいはほぼ一致しているように見えても内部的には不一致と判定される場合があります。誤った入力をしないよう注意書きや工夫をするほか、表記の揺れに対応できるよう複数の解答パターンやワイルドカードを有効に活用してください。

全角半角・類似記号問題

ブラウザで使用するフォントにより、全角文字と半角文字がまったく同じグリフ(字形)で表示されたり、気付きにくい場合があります。数値を解答させたい場合は、「記述問題」ではなく「数値問題」を使用すると、数値以外の入力をしたときに提出前に解答が不完全である旨の表示がされ、気付く場合があります。

その他、区別しづいら文字として以下が挙げられます。

  • 全角の中点「・」、半角の中点「・」
  • 半角のハイフンマイナス「-」、全角のハイフンマイナス「-」、数式記号のマイナス「−」、長音記号「ー」、enダッシュ「–」、emダッシュ「—」(その他、特殊なものを含むと多数あり)
  • 空白類
NFC/NFD問題

Unicodeでは同一の文字でも複数の表現形式が可能で、一つの文書にそれらが混在すると混乱の元となるため、いくつかの正規化形式(Normalization Form)が規定されています。合成済み文字に揃えるNFC(Normalization Form Canonical Composition)と基底文字と結合文字に分解するNFD(Normalization Form Canonical Decomposition)はその代表的な形式です。しかし、システムによって正規化を意識しないものやMacのようにNFDに正規化するものなどがあり、それらの間で互換性が問題になることがあります。Moodleでは特に正規化をしておらず異なる表現は異なる文字として扱うので、「記述問題」の解答パターンには、NFCによるものとNFDによるものの両方を用意する方がよさそうです。

  • NFCによるアクセント記号つき文字「Å」、NFDによるアクセント記号つき文字「Å」
  • NFCによる濁点つき文字「が」、NFDによる濁点つき文字「が」

参考:

康煕部首/CJK部首補助問題

Unicodeでは、通常の漢字とは別に、部首(康煕部首, CJK部首補助)にも固有の文字番号を割り当てているため、ほぼあるいはまったく同じグリフなのに異なる漢字として扱われるものがあります。少なくないPDF生成アプリが、通常の漢字を勝手に部首に変換してしまうことが知られており、そうしたPDFからコピー&ペーストして入力すると、元の漢字とは異なる文字と認識されてしまいます。

講義資料用PDFの生成方法に注意するほか、PDFからのコピー&ペーストを避けるように学生に注意喚起してください。また、岡山大学Moodleでは、デフォルトのフォントの利用時には、これらの部首に四角の枠を表示して区別できるように設定しています。(「入力した一部の文字に四角形の枠が表示されてしまう」参照)

  • 漢字の「二」、康煕部首の「⼆」
  • 漢字の「月」、康煕部首の「⽉」
  • 漢字の「鬼」、康煕部首の「⿁」、CJK部首補助の「⻤」

参考:

小テスト実施後の確認

「記述問題」を含む小テストを実施した場合は、その終了後などに学生の解答の傾向を確認することをお勧めします。小テストから「受験結果」ページ→左上「評定」ドロップダウンメニュー→「統計」を選択→対象の問題名をクリック、により、どのような解答が何件行われたかを確認することができます。

確認後、必要があれば解答パターンの追加や修正をしてください。記述問題の解答パターンは、小テスト実施後であっても安全に変更(追加・修正)することができます。更新を保存したあと、「受験結果」ページで「すべてを再評定する」を実施してください。