オンライン授業関連ツール等 FAQ
オンライン授業を実施する上で必要となるPC・機材・アプリ・外部サービス等の活用、さらに著作権法に関する質問項目をまとめています。目次にひととおりお目通しください。
2. 動画
2.3. 動画ファイルを圧縮したい
動画ファイルのサイズと圧縮の必要性
一般に、ビデオカメラで撮影したばかりの動画は、その後の加工による画質劣化を勘案して相当の高画質(大きなファイルサイズ)で保存されています。PowerPointでナレーションを入れて動画として出力した場合も同様です。
動画ファイルのサイズが大きいままオンラインで配信すると、ダウンロードの所要時間がかかったり、通信量を多く消費することになります。また、どの共有・配信サービスにおいても保存できる容量には限度があるので、多数の動画を保存するとその容量を圧迫することになります。
このサイズの削減(圧縮)には、動画ファイルのデコードと再エンコード(合わせてトランスコードという)が行われます。デコードはほぼ手間がかからないので、俗に再エンコードや単にエンコードとのみ呼ばれることもあります。
トランスコードアプリ HandBrake
概要とインストール方法
比較的有名な無償のトランスコードアプリとして、HandBrakeを挙げておきます。Windows, macOS等の各種OSで動作し、1.4.0以降では日本語での操作がサポートされています。(2023年12月時点での最新版は1.7.1)
アプリをダウンロードするには上記リンク先より、「Download HandBrake」のボタンを利用してください。一般に無償アプリをネット検索すると、本来の配付元ではないサードパーティーのサイトが上位に表示されることがありますのでご注意ください。もしダウンロード元に不安があればチェックサムの確認をお勧めします。
Windows版では動作に .NET Desktop Runtime が必要です(1.7.1では .Net 6.0 Desktop Runtime)。HandBrakeの初回起動時に必要に応じてMicrosoftのダウンロードページが開き、インストーラのダウンロードが始まりますので、完了したら実行してインストールしてください。
基本操作方法
- ソースの選択: HandBrakeを起動したらソース選択画面になるので、目的の動画ファイルを指定します。アプリ上にドラッグ&ドロップすることもできます。ファイルではなくフォルダを指定した場合は、フォルダ内の動画および画像ファイルをすべてあるいは選択して一括処理の対象にすることができます。一旦キャンセルしたり、1件の処理後に別のファイルを対象にしたい場合は、「変換元」ボタンによりソース選択画面になります。
- 時間範囲の調整: 動画の先頭から末尾までではなく特定の時間範囲のみを出力したい場合は、「範囲」欄で指定します。チャプター単位、秒単位、フレーム単位で範囲を指定できます。
- プリセットの選択: 「プリセット」はエンコード形式や圧縮程度の定義のことで、あらかじめ多数のプリセットが用意されています。このプリセットを決めると、その下部の「概要」「寸法」「フィルタ」「動画」「音声」の各設定がプリセットごとの既定値に初期化されます。プリセットの初期設定ではデフォルトで「Fast 1080p30」が選択されています。1080pというのは、縦1080ピクセルを越える解像度なら1080まで縮小するという意味です。30はフレームレートです。画面全体に拡大表示して視聴するという用途でなければ、「Fast 576p25」や「Fast 480p30」で十分と思われます。プリセットの詳細は HandBrake Documentation — Official presets を参照してください。
- 音声ビットレートの調整: ほとんどのプリセットでは音声ビットレートが160 (Kbps)と高めに設定されているので、音楽などの高音質を要する用途でなければ「音声」タブで64 (Kbps)程度に落としてもよいかもしれません。
- 解像度の調整: 動画の解像度を調整したい場合は、「寸法」タブの「解像度と拡大縮小」欄で「Optimal Size」をオフにして「拡大縮小サイズ」を設定してください。「アナモフィック」を「None」にすれば縦と横の一方を設定したとき他方も同じ比率で追随します。もし画像の一部領域だけを抜き出したい場合は、「向きと切り抜き」欄で「クロッピング」を「カスタム」として範囲を設定します。
- 出力先の確認: 「保存先ファイル」欄でフォルダとファイル名を確認し、必要なら修正します。
- 一括処理の設定: 他にも一度に処理してしまいたい動画がある場合は、ここまでの処理設定を「キューに追加」しておき、別の動画について1.〜6.を繰り返してください。
- 処理開始: 各種の設定ができたら、「エンコード開始」(Start Encode)(またはキューに保存した場合は「キュー開始」)ボタンを押してください。処理が完了すると出力ファイルが生成されます。
初期設定で注意すべき点
出力ファイルに関する設定は「ツール」(Tools)→「基本設定」(Preferences)→「出力ファイル」(Output Files)で変更できます。一部の初期設定は次のように不自然ですので、変更しておくとよいと思われます。
- 保存先フォルダが「ビデオ」フォルダに固定されている。
- → 「デフォルトの保存先」(Default Path)を "{source_path}" に
- ファイル名の文字が勝手に変更される。
- → 「先頭文字を大文字にする」(Change case to Title Case)と「アンダースコアをスペースに置き換える」(Replace underscores with a space)をオフに
- MP4で出力する場合も出力ファイルの拡張子が「.m4v」となる。(「.m4v」は「.mp4」とほぼ同じでほとんどの場合は「.m4v」のままで問題ない。「.m4v」にはDRMによるコピー制限機能を付加することも可能)
- → (好みにより任意で)「MP4ファイル拡張子」(MP4 File Extension)を "常にMP4を使う" (Always use MP4)に
外部Webサービス
動画ファイルを圧縮する無償のWebサービスがいくつかあります。
FileConvertoのOnline Video Compressorもその一つです。圧縮の程度を調整する機能はありませんが、上記HandBrakeのデフォルト設定と同程度のようです。
ブラウザ内での圧縮
ブラウザで動画・音声のトランスコードを行う機能がFFMPEG.WASMにより試験的に公開されています。外部サイトにファイルを送信しませんので、漏洩の懸念がなくなると思われます。動画の圧縮の程度は上記と同程度のようです。